春陽/さびしき野辺(「優しい歌」より)

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春陽

春陽(はるひ) 026-235-1310
春陽(はるひ) · 〒380-0858 長野県長野市長野608
★★★☆☆ · カフェ・喫茶

春陽

長野市上西之門町608

いま だれかが 私に花の名を ささやいて行つた

私の耳に 風が それを告げた追憶の日のやうに

最近、街中で用事が続いています。それらは、休日に長野駅周辺や善光寺界隈を歩くきっかけにもなっていて、自分には、とても都合の良いこと。知識を得たり、美味しいものをいただいたり、誰かと出会ったり、と色々な幅が広がっているようで嬉しい。「書は捨てられないけど、町へ出よう」・・・な気分。

善光寺御開帳で界隈は多くの人で、溢れんばかりです。人混みも好きなのですが、多すぎると、流れに飲み込まれ、何も見えなくなりそうで。本堂でのお参りを済ませてすぐに横道へ外れて、そのまま「春陽」さんへ向かいました。甘いものとお店の花々に癒されようと思ったのでした。

ショーケースに見えた「ゴルゴンゾーラのレアチーズケーキ」。そのまま一直線です。恥ずかしながら初見です。(恥ずかしいかな?今まで見かけたことが無い。)・・・窓辺のカウンターでワインと共にいただきました。もちろん美味しい。ゴルゴンゾーラはパスタやワインのおつまみなどで食することが多々あります。粘りつくような独特のクセを好きになっていけば、大人っぽくなれる、なんて思っていた頃もありましたね。でも今では大好きなチーズです。そのゴルゴンゾーラをチーズケーキで。ほんのり甘くて、そして存在を感じられるゴルゴンゾーラの香りがします。とても美味しい。傾けるワイングラスも柔らかく感じます。

窓辺「Vase à fleurs」に赤紫色の花が目に入る。なんて花だろう。偶然のこじつけだけど、自分の服と合っているよう。そして優しく響くBGMと今日の気分も合っていく。

ワイン一杯の間でしたが、とても至福な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

今日は五感を感じて、想いに耽ってみたい。

「詩」の世界はいかがでしょうか。

さびしき野辺

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『さびしき野辺』

立原道造 1914~1939

いま だれかが 私に花の名を ささやいて行つた

私の耳に 風が それを告げた追憶の日のやうに

いま だれかが しづかに

身をおこす 私のそばに

もつれ飛ぶ ちひさい蝶らに

手をさしのべるやうに

ああ しかし と

なぜ私は いふのだらう

そのひとは 

だれでもいい と

いま だれかが とほく

私の名を 呼んでゐる……ああ しかし

私は答へない おまへ だれでもないひとに

『優しき歌』より

「立原道造」1914~1939

東京都日本橋生まれ。13歳の折、北原白秋を訪問するなど、既に詩作への造詣を持っていた。同年、口語自由律短歌を「学友会誌」に発表、自選の詩集をまとめるなど13歳にして歌集を作り才能を発揮していた。大学は東京帝国大学工学部建築学科に入学した。卒業後、昭和12年に石本建築事務所に入所、建築と詩作の双方で才能を見せた。昭和9年(1934)夏、初めて軽井沢の信濃追分に滞在し、詩「村ぐらし」「詩は」の2篇が『四季』に掲載され文壇初登場をはたした。以来、繰り返し訪れ、音楽性豊かな多くのソネット(十四行詩)などを発表した。軽井沢においては兄事した堀辰雄、室生犀星らと交流を深めた。詩集「萱草に寄す」「暁と夕の詩」を自費刊行する。東大建築学科の卒業設計のテーマは「浅間山麓に位する芸術家コロニーの建築群」であった。昭和14年、第一回中原中也賞(現在の同名の賞とは異なる)を受賞したものの、同年3月29日午前2時20分、結核のため24歳で没した。立原道造のやさしい詩風には今日でも共感する人は多い。

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