こむしこむさ/後巷説百物語

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こむしこむさ

こむしこむさ 026-228-1919
こむしこむさ · 〒380-0824 長野県長野市1279−3
★★★★★ · バー

こむしこむさ

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-- 信用出来るご仁也 --

-- 窮した際は頼るべし --

-- からす --

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街が灯り始めたけど、まだ日中の暑さが残る。

久し振りに「こむしこむさ」さんへ。通りからお店が開いているのを見て、フラリと訪れたのでした。こちらはメニューのないお店です。ワインとプレート(このセットで3,000円)をいただきました。マスターは90歳超。今回も色々お話しをさせていただきました。悲しい事があった訳ではなく、教訓を欲しがるような浮ついた心持ちでもありません。普通で取り留めもない話をしてきました。内装や調度品を眺めて、マスターと話をする。「不思議」だけど良い時間。キャンドルが灯るこのお店には、年月は至る所に存在している。お酒はココロを過去に飛ばしてくれる。知らない過去にも、知るべき過去にも。その度に、どこかで風鈴が、りんと鳴っている。

🍷✨✨

後巷説百物語

後巷説百物語 (角川文庫) [ 京極 夏彦 ]

価格:1,012円
(2022/9/5 13:01時点)
感想(31件)

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「後巷説百物語」

京極夏彦 季刊妖怪マガジン「怪」掲載2001~

道を通せば角が立つ。

倫を外せば深みに嵌まる。

彼誰誰彼丑三刻に、そっと通るは裏の径。

所詮浮き世は夢幻と、見切る憂き世の狂言芝居。

身過ぎ世過ぎで片をばつけて、残るは巷の怪しい噂 ーー。

江戸時代末期。晴らせぬ恨みや困難な問題を解決する「御行の又市」を中心とした小悪党達がいた。掲載1997~「巷説百物語」「続巷説百物語」では、偶然彼らに関わった戯作者志望の若者「山岡百介」が中心に据えられ、小悪党達が「妖怪」の仕業に仕立てて物事を解決する様が描かれている。そして、この「後巷説百物語」(のちのこうせつひゃくものがたり)は、まだ江戸の風が残る文明開化の明治十年(1877年)を舞台にして描かれる。巷で騒がれる奇妙な事件の解決を試みる四人の青年(「笹村」「矢作」「倉田」「渋谷」)が、薬研界隈に九十九庵という閉居を構え、遠縁であるという娘「小夜」と暮らしている「老爺」の智慧を借り、事件の謎に迫っていく・・・。四人に「薬研のご隠居」と呼ばれるこの老爺の号は「一白翁」という。「御行の又市」一行から別れて四十年、「山岡百介」の晩年の姿である。

四人が持ち込む怪奇な事件には「妖怪」の風が吹く。

「赤えいの魚」島は一夜にして海に沈むのか。

「天火」火災の原因は人間の顔をした火の玉だと証言された。

「手負蛇」蛇はどれほど生きるのか。祟りは生きていた。

「山男」行方不明の娘が三年後に子供を連れて帰ってきた。

「五位の光」五十年前に青白く光る女を見た。その二十年後にも同様の体験をした。

「風の神」百物語をやり終えると本当に怪異は起こるのか。

偶然に山岡百介は又市一味の仕掛けに入り込み「小豆洗い」から百物語を語る。山岡百介の物語は、百物語の最後に語る「風の神」にて終わる。

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カウンターで想いに耽る。時の流れは止められないし、逆らえない。人は浮かび流されているようなもの。未来は憶測でしかないから、年月を重ねるのが不安になる。ただ、それは人にはどうしようもないことなのだ。だから人は「神仏」に祈り、「祟り」を恐れる。それらは、つらさや心の痛みに耐えうるために用意されたものであるのかと思う。人生には幸も不幸もある。幸を拾い集めれば、幸福な人生。不幸を拾い集めれば、不幸な人生なのだ。自分がどちらの人生を選んでいるのかわからないなら。「不思議」に浸るのが良い。

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「世に不思議なし、世凡て不思議なりですよ」

 百介は自分に言い聞かせるようにそう言った。

 小夜は矢張り、笑って聞き流したようだった。

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