うみなつ珈琲/西の魔女が死んだ

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うみなつ珈琲

うみなつ珈琲 Uminatsu Coffee
うみなつ珈琲 · 〒380-0862 長野県長野市長野桜枝町821
★★★★☆ · カフェ・喫茶

うみなつ珈琲/西の魔女が死んだ

うみなつ珈琲

長野市大字桜枝町821

うみなつ珈琲さんへ。

・うみなつオリジナルブレンド

・レモンクランブル

珈琲の香りと暖かい空気に包まれて、のんびりと。

こちらのお店には大きな看板はありませんが、すぐにわかります。通りから懐かしいガラス引き戸の向こうに、ケーキのショーケースとオーナーさんが珈琲を淹れている姿を見ることができるのです。僕が入った時には、ひとり本を読みながら珈琲をいただいている方がいました。様々な本が並んでいます。僕がこの世界に投稿した書物も幾つかありました。どれも珈琲に合うと思われるものばかり。この後来店された方々も本を手に取っておられました。オーナー夫妻さんが作り出す珈琲とこの空気感も「本」からイメージされているものがあるように思います。人それぞれに珈琲と本は選ばれていく。どこかに「答え」がないかな、なんて本を手に取る、僕の様な人もいらっしゃるかもしれません。

西の魔女が死んだ

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『西の魔女が死んだ』

梨木香歩 1994

「魔女修行のこと、忘れましたか、まい」

「魔女は自分で決めるんですよ。分かっていますね」

主人公まいへおばあちゃんが危篤だとの連絡が入る。まいは大好きなおばあちゃんの家で過ごした二年前の一ヶ月間の「修行」を思い出す。そして、その修行の際に起きたある出来事と、現在に至るまでの、おばあちゃんとのわだかまりを思っていた。

画家ポール・ゴーギャンの作品を思い浮かべます。

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」1897-1898

ゴーギャンの代表作、精神世界を最も描きだしている作品のタイトル。

人類・地球・生命および宇宙の起源は、現代科学でも解らずにいる。

我々は太古から創造神話を聞かされて受け止めている。

・巨大な卵から世界が生じた

・水底の泥から世界が生じた

・神々の死体などから生じた

・神と神々の両親から生じた

・創造主が原初の混沌から世界を作り出した

・・・・・

実際には、まだまだわからない。

もっとわからないことは「死んだらどうなる」こと。

主人公の「まい」は中学生。自分の頃を思い浮かべる。

今までわからないことは「大人」が教えてくれていた。

図書館や書店に向かえば「書物」が教えてくれていた。

ところが「死んだらどうなる」の問いには答えがない。

答えがありすぎて「無い」のだ。

神話の世界に入り込んでも、宗教の世界に入り込んでも。

感受性豊かな思春期でも、思慮深い大人になっても。

未だにわからずにいる。

僕は、この毎日が答えなんだと割り切っている。

『西の魔女が死んだ』の「魔女」は、まいのおばあちゃんでイギリス人である。中学校に入学するも他人に同調するのを止めたため、クラスから孤立していたまいを、魔女にさせるべく修行をさせる。規則正しい生活・ジャム作り・自然との触れ合い・・・。

まいの冷えた心は溶けていく。しかし、修行の途中に、ある出来事が起こる。魔女であるおばあちゃんは受け入れるのだが、修行中のまいは受け入れる事ができない。

人は身体と魂が合わさってできている。

身体は生まれてから死ぬまでのお付き合いですけれど、

魂のほうはもっと長い旅を続けなければなりません。

死ぬ、ということはずっと身体に縛られていた魂が、

身体から離れて自由になること。

「答え」がわかる、「答え」を理解する・・・、それは。

時と場所と人の心が一致する、奇跡のような「点」にある。

まいが魔女になって辿り着くのは、その「点」だったのだと思う。

ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ へ

オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、ダイセイコウ

うみなつ珈琲さんで想う

うみなつ珈琲さんの書棚に「西の魔女が死んだ」がありました。

見つけた時に「こんなところで」と。

本の世界に迷い込んでみようと本棚を眺めていたのですが、

今日は、夢ばかり見るのは控えるように、

本の世界に行ったきりで帰って来られなくなるから、と。

今日はこの本と、珈琲が教えたのだと思いました。

・・・自分の名前を忘れたら本当に帰って来れないから。

オーナー夫妻さん、オリジナルブレンド

「“うみなつ”と一冊」ありがとうございました。

うみなつ珈琲 画像

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