うみなつ珈琲
うみなつ珈琲 Uminatsu Coffeeうみなつ珈琲/西の魔女が死んだ
うみなつ珈琲
長野市大字桜枝町821
うみなつ珈琲さんへ。
・うみなつオリジナルブレンド
・レモンクランブル
珈琲の香りと暖かい空気に包まれて、のんびりと。
こちらのお店には大きな看板はありませんが、すぐにわかります。通りから懐かしいガラス引き戸の向こうに、ケーキのショーケースとオーナーさんが珈琲を淹れている姿を見ることができるのです。僕が入った時には、ひとり本を読みながら珈琲をいただいている方がいました。様々な本が並んでいます。僕がこの世界に投稿した書物も幾つかありました。どれも珈琲に合うと思われるものばかり。この後来店された方々も本を手に取っておられました。オーナー夫妻さんが作り出す珈琲とこの空気感も「本」からイメージされているものがあるように思います。人それぞれに珈琲と本は選ばれていく。どこかに「答え」がないかな、なんて本を手に取る、僕の様な人もいらっしゃるかもしれません。
西の魔女が死んだ
西の魔女が死んだ (新潮文庫 新潮文庫) [ 梨木 香歩 ] 価格:605円 |
西の魔女が死んだ スペシャル・エディション【Blu-ray】 [ サチ・パーカー ] 価格:3,971円 |
『西の魔女が死んだ』
梨木香歩 1994
「魔女修行のこと、忘れましたか、まい」
「魔女は自分で決めるんですよ。分かっていますね」
主人公まいへおばあちゃんが危篤だとの連絡が入る。まいは大好きなおばあちゃんの家で過ごした二年前の一ヶ月間の「修行」を思い出す。そして、その修行の際に起きたある出来事と、現在に至るまでの、おばあちゃんとのわだかまりを思っていた。
画家ポール・ゴーギャンの作品を思い浮かべます。
「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」1897-1898
ゴーギャンの代表作、精神世界を最も描きだしている作品のタイトル。
人類・地球・生命および宇宙の起源は、現代科学でも解らずにいる。
我々は太古から創造神話を聞かされて受け止めている。
・巨大な卵から世界が生じた
・水底の泥から世界が生じた
・神々の死体などから生じた
・神と神々の両親から生じた
・創造主が原初の混沌から世界を作り出した
・・・・・
実際には、まだまだわからない。
もっとわからないことは「死んだらどうなる」こと。
主人公の「まい」は中学生。自分の頃を思い浮かべる。
今までわからないことは「大人」が教えてくれていた。
図書館や書店に向かえば「書物」が教えてくれていた。
ところが「死んだらどうなる」の問いには答えがない。
答えがありすぎて「無い」のだ。
神話の世界に入り込んでも、宗教の世界に入り込んでも。
感受性豊かな思春期でも、思慮深い大人になっても。
未だにわからずにいる。
僕は、この毎日が答えなんだと割り切っている。
『西の魔女が死んだ』の「魔女」は、まいのおばあちゃんでイギリス人である。中学校に入学するも他人に同調するのを止めたため、クラスから孤立していたまいを、魔女にさせるべく修行をさせる。規則正しい生活・ジャム作り・自然との触れ合い・・・。
まいの冷えた心は溶けていく。しかし、修行の途中に、ある出来事が起こる。魔女であるおばあちゃんは受け入れるのだが、修行中のまいは受け入れる事ができない。
人は身体と魂が合わさってできている。
身体は生まれてから死ぬまでのお付き合いですけれど、
魂のほうはもっと長い旅を続けなければなりません。
死ぬ、ということはずっと身体に縛られていた魂が、
身体から離れて自由になること。
「答え」がわかる、「答え」を理解する・・・、それは。
時と場所と人の心が一致する、奇跡のような「点」にある。
まいが魔女になって辿り着くのは、その「点」だったのだと思う。
ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ へ
オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、ダイセイコウ
うみなつ珈琲さんで想う
うみなつ珈琲さんの書棚に「西の魔女が死んだ」がありました。
見つけた時に「こんなところで」と。
本の世界に迷い込んでみようと本棚を眺めていたのですが、
今日は、夢ばかり見るのは控えるように、
本の世界に行ったきりで帰って来られなくなるから、と。
今日はこの本と、珈琲が教えたのだと思いました。
・・・自分の名前を忘れたら本当に帰って来れないから。
オーナー夫妻さん、オリジナルブレンド
「“うみなつ”と一冊」ありがとうございました。
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