【三本コーヒーショップ】/『キューポラのある街』

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三本コーヒーショップ

【三本コーヒーショップ】

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冷たい雨の日は、切なくも好きな日。普段見てる景色が白い雲に隠されていて、見慣れた街並みが見えない。その向こうには現実の街が存在している。でも、白い雲で見えないから、その向こうを想像するのは自由だ。もしかしたら雨の降っている間だけ、今自分が見ている瞬間だけ世界が違っていて、白い雲の向こうには、過去の風景が広がっているのではないだろうか。

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【三本コーヒーショップ】 

長野市末広町1358-2

「令和五年五月二十日をもって閉店とさせていただきます。」

閉店が近づいています。創業以来六十五年の長きに渡り営業されてきたお店です。

開店当初はどんな時代だったのだろう。

1958年・昭和33年

関門トンネル開通・チキンラーメン発売・東京タワーの竣工・・・。

日本経済が上昇期に入っていくが、街は、まだ貧しかった頃・・・。

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キューポラのある街

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『キューポラのある街』

早船ちよ 1959年から1年間連載、1961年書籍化。

日本経済が上昇期に入った昭和三十四年頃の鋳物の街埼玉県川口市を舞台とする作品。

中学三年生の「ジュン」の家は極めて貧しい。キューポラ(溶解炉)の炭たきの父「辰五郎」、ビニールの内職工場に勤める母「トミ」、小学五年生の弟「タカユキ」、身重の叔母「ハナエ」と五人で暮らしている。鋳物職人の父は、熟練と勘で腕の良い仕事をするが、酒飲みでだらしがない。母は生活に追われて気持ちのゆとりが無い。弟は小遣い稼ぎに鳩の飼育に夢中になっていて非行少年すれすれでいる。叔母は初めての子を産むというのに、その夫は漁船の機関士で李承晩ラインを侵犯して韓国に抑留されたままである。

ジュンの周囲で起こる、貧困、家族の衝突、民族、友情、性、などの問題が描かれている。家族を愛しながらも、多感なジュンは心身の成長も絡んで時に反抗的になる。進学を諦められないジュンは、北朝鮮に帰還する在日朝鮮人の友人が「働きながら学ぶのだ」と言ったことに勇気付けられて、製糸工場に就職して定時制高校に通うことを決意する。

「キューポラのある街」は1962年、吉永小百合主演で映画化されました。監督は浦山桐郎で監督デビュー作となる。(浦山桐郎は、のちにアニメーション「龍の子太郎(1979)」を監督している。)

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想うこと

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雨の日曜日に訪れました。土、日、祝日のみのメニュー「オムライスセット」。チキンライスのパラパラ感は、とても懐かしい。ホワイトソースの甘すぎないザラザラ感、サラダにはオイルが多めのドレッシング、ピーマンと玉ねぎの入った温かいスープ、美味しいコーヒー。このお店でしか味わうことができないオムライスセットです。

喫茶でもお世話になりました。メニューよりも「誰と訪れた」の思い出のほうが大きい。ケーキセット、パフェ、モーニングセット・・・。懐かしい。

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毎晩毎晩、同じ夜空を見上げていたであろう「三本コーヒーショップ」の看板。六十五年の間、毎日、誰かが看板を見つけて、灯りを見て、安らいでいたのだ。日常の平穏を願う常連の方々が訪れていた。また、夢見る週末には、沢山の若い方々が訪れていた。夢を思い描いたり、笑ったり、泣いたり・・・誰かと来ていて、もっともっとその人のことを好きになったり・・・。コーヒーの香りに包まれた、甘くてほろ苦い青春の日々。

灯りが消えてしまうのは、寂しい。

これからは、白い雲の中に、その姿を見ることとなる。

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三本コーヒーショップ 画像

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