Café Le Garçon /サロメ

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カフェ・ル・ギャルソン

Café Le Garçon(カフェ・ル ・ギャルソン) 026-219-4177
Café Le Garçon(カフェ・ル ・ギャルソン) · 〒380-0856 長野県長野市大字長野横町440−7
★★★★★ · カフェ・喫茶
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カフェ・ル・ギャルソン

長野市横町440-7

🍷

御開帳が終わり徐々に平穏な日常に戻りつつある善光寺界隈です。カフェ・ル・ギャルソンさんへ。今回は立ち飲みスタイルで赤ワインとオリーブ。夕暮れですが、暑い一日がまだ終わらない。オーナーさんが外へ出て打ち水を始めました。気温だけでなく、御開帳の間に続いた日々の喧騒も静かになっていくよう。湧き上がるアスファルトの匂いを風が運んでくれます。

「あまり変わらないですね。」

いえいえ、充分。気持ちもクールダウンできました。日々を取り戻す時間は、あまり変わらなくてもよいのです。暑さを避けて、喧騒から抜け出して、不吉な月を眺める訳ではない。

🍷

赤ワインの妖しい色と、ワインの受け皿(ワインコースター)の銀の輝きを見て、ひとつの戯曲が思い浮かぶ。

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サロメ

サロメ/ウィンダミア卿夫人の扇改版 (新潮文庫) [ オスカー・ワイルド ]

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感想(2件)

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『 サロメ 』

オスカー・ワイルド

1891年にフランス語で書かれる。1893年にパリで出版。

その夜はユダヤ王「ヘロデ」の宮殿で宴会が催されていた。

この様子を露台にもたれ掛かって見ていた兵士達は、王女「サロメ」の美しさ、「死んだ女」の面影にそっくりの月、宮殿の外の騒がしさなどから、今宵は不吉なことが起こるのでは、と不安を抱いていた。

そこへ、義父「ヘロデ」を避けた「サロメ」が宴席を抜け出してきた。

ユダヤ王「ヘロデ」は自分の兄である前王を殺して妃を奪い座に就いた。そして、この夜も妃の娘であるサロメに魅せられ、いやらしい目を向けていたのであった。

サロメは宮殿にある古い井戸に向かう。井戸には預言者の「ヨカナーン(ヨハネ)」がいる。ヨカナーンは不吉な言葉を撒き散らして妃から嫌がられ、この井戸に幽閉されていた。サロメはヨカナーンに関心を持ち、隊長に命じて外に出させた。ヨカナーンはサロメの母「ヘロディアス」を淫乱な女と非難する。サロメは一瞥するが、次第に美しいヨカナーンに惹かれていく。黒い瞳、白く細い体、黒い髪、赤い唇・・・。

「お前の口に、口づけをさせておくれ。」

だが、ヨカナーンはサロメの忌まわしい生い立ちをなじり、サロメの愛を拒む。

サロメは口づけをすると誓う。

宴席に戻ったサロメ。ヘロデはサロメにしつこく踊りを所望し、踊ってくれたなら何なりと望みの品を与えると約束をする。サロメの望みの品は・・・。

『銀の大皿にのせたヨカナーンの首』

であった。

「・・・あゝ! お前はその口に口づけをさせてくれなかつたね。ヨカナーン。さあ!今こそ口づけを。・・・でも、どうしてあたしを見ないのだい、お前の眼は、・・・どうして閉ぢてゐるのだい? その眼をおあけ!・・・」

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🌙

コースターの丸い銀が、井戸の底の様にワインを見上げている。ワインレッドは、勝手気ままな妖しい色。月を映したくとも、揺れる赤は水面を惑わせる。

・・・赤ワインには妖力がある。時を忘れて、望みの品を与えるから、と要求してはいけない。何かが起こってしまう。

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ギャルソンさんで立ち飲み。もし。赤ワインを、もっとゆっくりと、椅子に座ってずっと飲んでいたら・・・。妖しい「赤」を持つ人に出逢って・・・。

・・・何かあったら、水を、かけてくださいませ。

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