【キッチン「はるつげ」】/『彼のオートバイ、彼女の島』

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【キッチン「はるつげ」】

🍳【キッチン「はるつげ」】

安曇野市穂高6764-19

安曇野・穂高「キッチンはるつげ」&「宿 春告鳥」 【公式ページ】自家製スモークなどが人気の宿
この度、春告鳥は安曇野市穂高へ2020年に移転しました。27年間お世話になった白馬を離れ安曇野の地で新しいスタートです。客室2室とレストラン、規模は小さくなりますが、今までと変わらぬおもてなしが出来るように取り組んでいます。どうぞよろしくお...

キッチン「はるつげ」&宿「春告鳥」

そのお店を見つけて前を通り過ぎるだけで、行ってみたいと思うことがある。そんなお店のひとつ。良いタイミングでランチに訪れることができました。おひとりさまランチです。。こちら、一日二組の宿にもなっています。カフェのように小さなお店です。ホームページに美味しい料理が並んでいて、宿泊ならではのご馳走。それらをランチでいただける。「燻製」のランチ。小さな燻製のシリーズがどれも美味しい。味わいも食感も違う材料が燻製という括りで纏められていて、コース料理をいただいたようです。車ですのでワインは飲めないけれど、とても良い時間を過ごす事ができました。またいつか、機会を見つけて訪れよう。穂高駅・穂高神社の近くにあるお店です。・・・信州・長野県は観光県。僕がまだ若者で、都会での一人暮らしで疲れて寂しい毎日を送っていたとき、穂高には「ひとり旅」で訪れたことがあります。好きな地域で、たくさんの思い出があります。運命が違っていたら、今頃は穂高で暮らしていたのかもしれませんね。

瀬戸内海の淡路島にいた頃、何をやらせても器用な僕は「お前がバイクに乗ったら絶対に速い」と友達によく言われていました。素質があると。

僕は淡路島を出る。社会に居場所を見つけるのが精一杯で、バイクに憧れるも、結局免許をとることはありませんでした。もし、バイクに乗っていたら今とは違う世界を楽しんでいたのかな。一人旅をして、誰かと出逢ったり・・・。でも・・・、と想像する。当時のあやうい僕は、現実逃避がバイクになり、快感を得て、速さを求め続け、きっと大事故を起こしていただろう。トラックと衝突していただろう・・・。

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『彼のオートバイ、彼女の島』

📘『彼のオートバイ、彼女の島』

片岡義男 1977

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高原の涼しい風が、いろんな方向から吹きぬけた。

遠く浅間山のうしろに、入道雲がそびえはじめていた。空は、まっ青だ。

浅間のずっと左手に、菅平が一望できた。

ぼくは、そのとき、千曲川をはさんで反対側、別所温泉の高原にいた。

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僕(橋本功)は一人旅をしていた。信州の高原の道路脇で休憩していると、彼女(白石美代子)と出会う。彼女が僕のオートバイ(カワサキ650RS-W3)に興味を持ったことがきっかけで親しくなり、旅から帰った後手紙や電話でやり取りを始める。彼女は瀬戸内海の離島(岡山県笠岡からフェリーで四〇分くらい、とあるのみで島の名前は不明)出身で今は西宮に住んでいる。お盆が近づきミーヨは僕に実家がある瀬戸内海の島に遊びに来るよう誘った。後日島に憧れた僕はオートバイで訪れる。フェリーから防波堤を眺めると灯台の台座で誰かがこちらに向かって手を振っている。美代子が「コオ!」と叫んでいる。島で僕は美代子のことを「ミーヨ」と呼ぶようになった。三日間の間、夕方になるとミーヨはバイクに乗りたがった。大型のオートバイを運転してみたいという気持ちが芽生え始めたように見えた。ミーヨには素質がある・・・。

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「彼のオートバイ、彼女の島」

信州の各地域が舞台となっていて、季節を合わせた風景がすぐに浮かびます。(そして、瀬戸内海の海を感じることも出来ます。)もし僕がバイク乗りだったら、この本はかけがえのないものに・・・もし、の話で空想です。

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片岡義男さんの作品の大半は絶版となっています。書店で見つけるのも難しくなり、長野県立図書館では書架におさまっています。見知らぬ人が出会うのは難しい。ですが、公式サイト(片岡義男.com)において全著作の電子化計画が進められています。また、著作権者自らの意思により、一部の作品は「青空文庫」にて公開されています。

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想うこと

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「キッチンはるつげ」さん、宿でもありますので、ここには色々な旅人を迎え入れるという空気感があります。オーナーさん夫妻の暖かみのある話しかけも嬉しい。僕は今でも旅人だ。短いランチの間に色々な想いに浸っていました。でも全然センチメンタルではありません。今の僕は「楽しむ一人旅」ができるようになっています。あの頃とは違う。「おひとりさまランチ」として人と出会うこともできる。(小説のようにバイクがきっかけ、ではありませんが)

「・・・」さま、色々お話しもできて楽しかったです。ありがとうございました。

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よろこびに、体がすうっと軽くなる。と同時に、時間がゆるやかに、とまりはじめた。夏のあいだずっと、島で陽のなかにいればいいのだ。時間なんか、必要ではない。とまってしまえば、それでいい。

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「キッチン はるつげ」 画像

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