【よろしき日】/『夫婦善哉』

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【よろしき日】

🥢【食堂 よろしき日】

長野県下高井郡山ノ内町大字平隠2942-3

12:00~19:00

定休日 月曜日・火曜日 不定休あり

青空と秋色の高社山がきれい。

フラリとお邪魔しました。

夫婦で営まれている自然素材の食堂です。旦那様は東京、奥様は京都出身。奥様の妹夫婦が農園をされており、その縁でこの場所でお店をオープンされたのだそうです。長野電鉄の終点「湯田中駅」の近く、温泉街の中にあります。お店のインテリアは奥様の感性が生かされていて、京都の風をかんじます。京都府左京区にある「知恩寺」境内で毎月15日に「手づくり市」が開催されています。そこで購入して飾られている、とのこと。京都で生まれ育った姉妹、と聞いただけで想いが馳せます。

・・・本の中で思い描く日本の都、京都が舞台の世界を想います。「川端康成」の『古都(1962)』みたく。

「よろしき日定食」。ご飯の器を選びます。オーナーさん手作りの器です。週替わりメニューは「ねぎのおあげ包み焼き(豚ひき肉とこんにゃく入り)」。赤味噌仕立てで、甘さにほっとします。小皿のどれをとっても美味しい。ひと手間として、大葉や柚子胡椒を加えるテクニックは料理家さんのよう。誰かに教わったレシピなのだろうか。旦那様は飲食業、奥様はスキーで野沢温泉村を訪れ、そこでの出逢いからの始まり物語。旦那様との地元ビールやカフェの話に夢中で(共通の情報がありまして)、レシピに関しては、お聞きするのを失念してしまいました。今度、奥様へ聞いてみよう。

「夫婦で仲良く」っていいな。

美味しい料理の世界を作っている。

そのために、お互いに寄り添っている。

『夫婦善哉』

『夫婦善哉』

織田作之助 1940

十日経ち、柳吉はひょっくり「サロン蝶柳」へ戻って来た。行方を晦ましたのは策戦や、養子に蝶子と別れたと見せかけて金を取る肚やった、親爺が死ねば当然遺産の分け前に与らねば損や、そう思て、わざと葬式にも呼ばなかったと言った。蝶子は本当だと思った。柳吉は「どや、なんぞ、う、う、うまいもん食いに行こか」と蝶子を誘った。

「柳吉・蝶子」という、見方によっては大変奇妙な夫婦が色々な商いを手がけながら、大阪の町を彷徨う物語。いいお店の若旦那が芸者や女郎に惚れて身を誤るというのは、井原西鶴や近松門左衛門の浄瑠璃の時代からの型であるが、この「夫婦善哉」はそれらを踏襲していながらも「哀傷きまわりなきもの」とはなっていない。

競争社会の現実では敗者となってしまう柳吉である。自分を律することが出来ずに、つい放蕩してしまう。不始末を繰り返す柳吉に蝶子は寄り添う。

ふたり仲良く法善寺で『ぜんざい』をすする。

「晴れて夫婦」

「めをとよきかな」

「夫婦善哉」

この近くの湯田中駅には無料の足湯がある。秋風のなか、暖まっていきたい。

【よろしき日】画像

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