泉が丘喫茶室/車のいろは空のいろ

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泉が丘喫茶室

泉が丘喫茶室

長野県上水内郡飯綱町大字赤塩2489

いいづなコネクトEAST 1階

022-253-3211

OPEN 11:00~17:00

ランチ 11:00~14:00

close 月曜日

泉が丘喫茶室 026-253-3211
泉が丘喫茶室 · 〒389-1203 長野県上水内郡飯綱町赤塩2489 いいづなコネクトEAST 105
★★★★☆ · ケーキ屋
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天気の良い日。青空の日。仕事の合間に立ち寄りました。こちら廃校が生まれ変わった施設「いいづなコネクトEAST」の中にあります。教室で校庭を眺めながらリンゴのスイーツとコーヒーで良い時間を過ごしました。「丸ごと×ムーンルージュ」。果肉の色あいが可愛らしい。クッキータルトとアーモンドクリームの台座に、ムーンルージュ。くり抜かれた芯の部分は、くるみ、アーモンド、ドライクランベリー、ドライレーズン。これらが順に層となっています。甘い、酸っぱい、香ばしい。コーヒーによく合います。そのコーヒーも味わい深くて。MYOKOコーヒーの焙煎豆とのこと。美味しい。とても良い時間でした。新しく美味しいものに出会うと、童心に戻ります。この教室でずっと過ごしていたかったのですが、行かなきゃと心の中で「チャイム」の音が鳴りました。大人の僕には仕事の都合があるのです。

小学校の思い出、こと国語の授業の関しては、あまりよいものではありませんでした。本の世界が好きでも、国語のテストは苦手で次第に嫌いになっていきました。「この時の主人公の気持ち」「なぜ作者は」「どの文章から読み取れるか」といった問題に、自分の感情が入りすぎて(深読みし過ぎて)不正解となることばかり。そうなると教科書に掲載されている作品も作家も嫌いになっていきました。今は違うけど宮澤賢治も苦手になっていた。

そんな国語の教科書のなかで、僕の心にずっと残っていて、大人になって読み返しても惹かれる作品、好きな作家さんがいます。「あまんきみこ」さんです。小学校の教科書には「白いぼうし」が掲載されています。

車のいろは空のいろ

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車のいろは空のいろ

あまんきみこ 1968年刊

『白いぼうし』

「これは、レモンのにおいですか?」

ほりばたでのせたお客のしんしが、話しかけました。

「いいえ、夏みかんですよ。」

信号が赤なので、ブレーキをかけてから、運転手の松井さんは、にこにこしてこたえました。

空色のタクシーには、なぜか不思議なお客さんが乗り合わせることが多い。

空色のタクシーの運転手、松井五郎さんの体験談八篇が収められています。

第一話「小さなお客さん」

車好きの赤いズボンの兄弟をタクシーに乗せた。「きつねの毛」がのこされていた。

第二話「うんのいい話」

釣り人を乗せて夜の道を走っていたら、タクシーはいつのまにか海の中にいて、周りを魚が泳いでいた。

第三話「白いぼうし」

少年の帽子の下から蝶を逃してしまった松井さんは、代わりに夏みかんを置いた。女の子が乗ってきて車を早く出して、とお願いをする。

第四話「すずかけ通り三丁目」

空襲で子供を亡くした母親を乗せて走っていくうちに、戦前の町に着く。

第五話「山ねこ、おことわり」

親孝行な山ねこの医者を乗せて、山奥を目指して走る。

第六話「シャボン玉の森」

道の真ん中で、シャボン玉遊びをしている女の子を道端にどけたら、松井さんの体が小さくなってしまう。

第七話「くましんし」

松井さんが忘れ物の財布を届けたところ、お客の紳士が、自分は北海道の「こたたん山」で生まれた熊で、人間に故郷を追われたのだと語る。

第八話「ほん日は雪天なり」

狐の雪祭りに遭遇した松井さんは、狐たちに「人間に化けるのがうまい」と褒められて商品の油揚げをたくさんもらう。

不思議な場面をどのようの解釈するか。読者の空想力が広がる

人間ではない生き物が、人間の姿や感情を持って現れる。物語の最後に空色タクシーに残された「きつねの毛」「ふるえる手」「夏みかんのにおい」が非現実的な出来事が、現実であったと証明している。

それを踏まえて読み進める。第四話「すずかけ通り三丁目」では、松井さんは乗客とともに「むかしのうち」を訪れ、空襲で亡くなった子供たちの笑い声を聞いている。過去へ行った事が「現実であった」と証明している。ただし、第三話までと大きく違う悲しい余韻は、戦争は「非現実的な出来事」では無かったことです。松井さんの体験が、切なさと苦しみを湧き立て、読者の知らない「戦争の傷跡」を感じることができます。

そして第五話以降は、人間という生き物の感情表現と、その人間と動物の共生の難しさが描かれています。

なぜ、空色タクシーの運転手「松井五郎さん」には不思議なことばかり起きるのでしょうか。松井さんは、

「非現実」と「現実」の間を。

「人間」と「動物」の間を。

空色タクシーで行き来しているのではないのだろうか。

松井五郎さんは、両方の世界に住むことができる「不思議な」生き物なのだ。

なぜ?・・・第八話を深く読み込んで、もしかしたら、なんて空想をすると。

見えてくるのです。「現実であった」という不思議を感じるのです。

僕も松井五郎さんに近づいてきたのかも知れない。

空色タクシーの運転手になりたい。

・・・もしかしたら・・・

・・・「おしりがむじむじ」して

・・・「しっぽのことが気になりだした」

泉が丘喫茶室 画像

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