お店:☕️【米村珈琲】/書物:📓『病牀六尺』正岡子規

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😌春の御膳が待ち遠しい季節。

「うたゝ寐に春の夜浅し牡丹亭」

「春の夜や料理屋を出る小提灯」

「春の夜や無紋あやしき小提灯」

〈正岡子規〉

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☕️【米村珈琲】

☕️【米村珈琲】

長野市篠ノ井布施高田845−1

☕️ブレンドコーヒー〈NAGOMI〉

🍮イタリアンプリン

小さなお店です。

オープン日は土日月です。(Instagram☑️)

ちょうど席が空いていて座ることができました。先客は、男女二人連れとおひとりさま女子。ストーブで温められた部屋。とても小さなところ。「まちの円居・食の団欒・丸十」さんの一角の部屋で営業されている珈琲店です。空間はもちろん、建物も昭和レトロ。空気感に癒されます。昭和レトロと言いつつも、丸十さんの歴史はずっと古い。篠ノ井駅が開通した翌年の明治22年(1889)に雑貨商として創業し、2008年まで銭湯「丸十温泉」を営んでいました。篠ノ井の人は、歓送迎会や忘年会、新年会、暑気払い、総会、町内会、同窓会、ご慶事、ご法事など、さまざまな会食(御膳)の機会に訪れる。銭湯時代を知る人は、今でもこの建物を「丸十温泉」と呼んでいます。

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…オーナーさん、忙しそうでしたので、どうしても伝えたいことだけ。そのカウンター前のジュースとクッキーを作っている人と知り合いなんです…(以前に志賀高原ビールの話をしたことがある)

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丸十さん、歴史のある屋号。始まりのその時代は、日本が突き進んで行く時代でした。

…近代化が地方にも行き渡り始め、鉄道が走り、豊かになっていく…。明治半ば、欧州由来の醸造技術でビールの生産が盛んになりました。洋風の食堂で客が喉を潤す光景があちこちで見られました。この人気に目を付けたのが、日露戦争前夜の政府です。1901年(明治34年)、ビールに課す麦酒税を創設し、軍事費に充てました。多くの税収をもたらし、酒は財政の「玉手箱」と呼ばれました。俳人の正岡子規はビアホールに憧れていました。病状で随筆に書き記しています。…「そこで自分の見た事のないもので、ちよつと見たいと思ふ物を挙げると」「活動写真・自転車の競争及び曲乗・動物園の獅子及び駝鳥・浅草水族館・浅草花屋敷の狒々及び獺・見附の取除け跡一・丸の内の楠公の像・自働電話及び紅色郵便箱・ビヤホール・女剣舞及び洋式演劇・鰕茶袴の運動会」…

…悲しいことに、日本が進む方向は「悪い方向」でした。正岡子規が憂いでいた通りになりました。

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📓『病牀六尺』

📓『病牀六尺』

正岡子規

連載「日本」日本新聞社

1902(明治35)年5月5日~9月17日号(亡くなる二日前)

正岡子規1867-1902(35歳没)

「病床六尺、これが我世界である。しかもこの六尺の病床が余には広過ぎるのである。…

毎日見るものは新聞雑誌に限つて居れど、それさへ読めないで苦しんで居る時も多いが、読めば腹の立つ事、癪にさはる事、たまには何となく嬉しくてために病苦を忘るるやうな事がないでもない。年が年中、しかも六年の間世間も知らずに寐て居た病人の感じは先づこんなものですと前置きして…」

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俳句と短歌の革新で、すでに名をなしつつあった正岡子規は、日清戦争へ従軍記者として参加しています。ですが、その無理がたたって、持病の結核を悪化させ外出もままならない身体となりました。結核菌が背骨に入り脊椎カリエスを発症して、やがて寝返りも打てないほどの重症となりました。しかし彼は、その寝たきりの小さな六畳一間から、世界とその中で突き進んでいく日本という国を描写していたのでした。

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想うこと

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「…知り合いなんです」…オーナーさんが少し驚いた様子で、先客の「おひとりさま女子」を指し示す。「その方」でした。週の三日間だけの珈琲店で、この午後に、このコーヒーを飲む一杯分の時間、という限られた時空の中で。座っている。出逢いに驚きながら声掛けをしました。不思議です。小さな空間ほど「趣」があって、起こる事全てに「意味」があるのだと思いました。そのときの僕の心境をも正岡子規はこの書に記している(不思議😌)。

「…固より今遇はうとは少しも予期しなかつたので…(お嬢さんは)趣を備へて居た…余はこれを見るとから半ば夢中のやうになつて動悸が打つたのやら、脈が高くなつたのやら凡て覚えなかつた。…お嬢さんはごく真面目に無駄のない挨拶をして…嬉しいのなんのとて今更いふまでもない。お嬢さんの名は南岳艸花画巻。」

「…またいつか、どこかで…」

人生は短かったけれど、正岡子規は沢山の「句」と「言葉」を残しました。

僕らの進む道は明るいのだろうか。小さな空間で考える。

「米村珈琲」さんにて。

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